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OPINION

大きな意義を持つ凍結装置の認証制度

冷凍食品の価値の浸透に伴い、食品を凍結して販売したいという企業が増えつつある。その際に欠かせないのが食品の凍結装置。しかし、その性能の良し悪しを判断するのは難しく、客観的に評価する基準も存在しない。このため、どの凍結装置が自社に最適なのか分からず、購入後に「想定と違う」といった問題も発生している。
 このような状況を受け、(一社)食品冷凍技術推進機構(=FFTech)は、食品凍結装置の性能を科学的かつ客観的に比較できる、業界共通の評価基準を確立するためのプロジェクトを推進。その基準に基づいた認証制度の創設を目指している。
 8月に会見したFFTechの鈴木徹代表理事(東京海洋大学名誉教授、日本冷凍食品協会理事)は「凍結装置の性能を客観的・定量的に示す基準を策定することが必要。FFTechだけが判断するのではなく、利害関係のない外部の第三者委員会によるチェックも行うことで、透明性のある凍結装置の判断基準として訴求していきたい。これによって凍結装置メーカーは信頼性の高い表示ができ、ユーザーとなる食品メーカー等は、安心して装置を購入できる」と説明した。
 鈴木代表理事によると、現在、世界的にも凍結装置の性能を評価する基準はないという。このため国際冷凍学会からも「食品冷凍技術分野における透明性、標準化、イノベーションを促進する先駆的な取り組みであり、ぜひ進めてほしい」と注目されている。
 プロジェクトでは、主要な凍結装置メーカーにも声をかけ、趣旨に賛同したフクシマガリレイやタカハシガリレイ、前川製作所、コガサン、サラヤ、大陽日酸がコンソーシアムを組織した。
 性能評価は、「装置の機械性能評価」(凍結のスピードや処理能力など)と、「食品の品質評価」(凍結した食品の氷結晶サイズや解凍時のドリップ量・食感など)に大きく分けられる。現在は装置の評価手法確立を進めており、食品の評価も手法が確立次第、統合する。

冷凍食品産業全体の進歩へ

現在は評価手法の最終案の策定に向けて進んでおり、今後、運用方法の検討も進め、26年度の認証制度スタートを目指している。将来的にはJISやISOといった公的な規格化も検討し、実現すれば日本の食品冷凍技術の国際的プレゼンス向上にも大きく貢献する。
 また、この認証制度の価値は、凍結装置の性能を評価できることにとどまらない。現在は定義に沿った「冷凍食品」以外にも、冷凍された惣菜などの食品が多く流通している。それらを製造するメーカーと、今回の凍結装置の認証制度を活用してほしい食品メーカー等は重なる部分が多い。このため、“冷凍された惣菜”などを評価する際の、一定の評価基準にも成り得る。
 鈴木代表理事は「日本冷凍食品協会がケアできないところもあり、そのようなところにも相談に乗るなどしていきたい。そうしないと、冷凍食品産業全体が危ない方向に行ってしまう可能性もある」と危機感を示し、「冷凍食品産業が進歩していけるよう、今回の制度を推進したい」と述べている。
 冷凍食品産業の持続的な発展には必要なプロジェクトであり、今後の動きに大いに期待したい。

(吉田)