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OPINION

24年の課題は物流だけではない

2023年度の小売各社の業績は、比較的好調に推移している。上期はスーパー、コンビニとも増収増益となった企業が多く、イオンなど第3四半期累計の好業績により通年の予想を上方修正する企業も見られた。ただし、おしなべて好調かと言うとそうでもない。コロナ収束による客数の回復や、値上げによる客単価の上昇が売上げを支えており、買上点数は依然として減少傾向にある。
 食品スーパー3団体の1〜12月の統計によると、既存店の総売上高は102.6%で3年ぶりに前年をクリアしたが、保有店舗数別の業績では1〜3店舗の小規模チェーンは98.9%と店舗数別で唯一マイナスとなり、企業の規模による格差も窺える。業界全体の業績こそ上向きだが、慢心していては足元を掬われかねない。
 年初には各団体が年頭所感を発表した。日本スーパーマーケット協会の岩崎高治会長(ライフコーポレーション社長)は現況について、「各社、売上げは順調に推移しているが、度重なる食品の値上げ、電気料金や物流コストの上昇、人手不足、人件費の高騰などに直面しており、経営の舵取りが難しくなっている」と強調。協会としては人手不足、物流における24年問題、環境問題に重点的に対応していくとした。24年問題に対しては同協会加盟企業10社が「SM物流研究会」を立ち上げており、積極的に取り組みを進めている。
 日本チェーンストア協会の三枝富博会長(イトーヨーカ堂会長)は、「消費者が買上点数を抑え、量目・購入頻度を見直すなど工夫している姿を見て、巷間で言われている数値評価とは異なる感触を得ている」として、物価高を課題の1つに挙げる。「政府には、税や社会保険料の在り方とその行方が消費マインドに強い影響を及ぼすことを念頭に、真に実感できる施策につなげてもらいたい」と要望した。
 オール日本スーパーマーケット協会の田尻一会長(元サミット社長)は、『人が関わることの価値』と題した所感を発表。「AIなどの技術革新によって削減した人時を、売場での接客に流用すべき」と述べている。

新たな取り組みも加えて成長の1年に

また、セブン&アイ・ホールディングスの井阪隆一社長は自社向けの年始の朝礼において「様々な角度からお客様の変化を読み取り、『価値と価格のバランスを意識したマーチャンダイジング』を進めていくことが必要」と話した。ワンストップショッピングへのニーズの高まりに対し、セブン−イレブン・ジャパンとイトーヨーカ堂の連携による新業態店舗「SIPストア」を2月に出店するなど、新たなグループシナジーの創出に力を注ぐ。
 ローソンの竹増貞信社長は「世界最速のデリバリー事業、名付けてQECに挑戦する」と年始の朝礼で言及。QECは注文から最短15分で商品が届くサービスで、3月から開始するという。24年について、「“ローソンチャレンジ2025”で掲げている目標『レコメンドNo.1』に向かって勝負をかける年になる」と力を込めた。
 24年の小売業界にとって、物流以外の課題も多い。1つひとつの課題に真摯に向き合うとともに、新たな取り組みなどを推進することで、さらなる成長に向けた1年になることを期待したい。

(杉本)