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OPINION

ニチレイフーズの挑戦に期待

ニチレイの25年度上期は、国内加工食品事業が6%の増収ながら、低価格志向の高まりなどから営業利益は35%の大幅減益となった。昨年11月の決算発表会では、その対策の1つとして26年に「価格対応型商品」を投入すると大櫛顕也社長が言及した。
 ところで、今でこそ値上げと聞いても驚かなくなったが、各種原材料の高騰や円安が顕著になった21年当時、値上げという言葉に対する世間や流通の反応は、今と比較できないほどネガティブなものだった。そうした中、21年8月にニチレイフーズが冷凍食品業界では先陣を切って、同年11月からの値上げを発表。これを機に、他メーカーも相次いで値上げに踏み切った。その後も同社は複数回の値上げを実施しているが、一時的な数量の落ち込みがあっても数ヵ月後には回復し、着実に業績を伸ばしてきた。
 それだけに、同社が価格対応型商品を投入することは、大きなインパクトがあった。もちろん、昨年は低価格志向が一段階高まった感があり、対策は講じなければならない。数量が落ち込めば工場の稼働率が下がり、収益性が悪化する。しかし、家庭用冷凍食品の市場価格がようやく少しずつ価値に見合うものになりつつある中、トップメーカーが価格対応型商品を発売することで、再び市場価格が下がってしまうのではないか、という懸念もあった。

「攻め」の価格対応型商品

そして今年1月。ニチレイフーズの今春の新製品として、卵を加えてフライパン調理することでよりおいしく仕上がる、家庭用冷凍炒飯では新機軸の「おうち炒め炒飯」が発表された。
 「価格対応型商品」という言葉からは、スペックを落とすことで価格を抑えた商品をイメージしがちだが、「おうち炒め炒飯」は600gの大容量で値ごろ感がありつつも、新たな市場の開拓を狙った、「攻め」の価格対応型商品といえる。
 同社によると、炒飯市場1921億円の内訳は、手作り851億円、外食491億円、中食124億円、冷凍食品455億円。冷凍炒飯市場が伸長しているとはいえ、まだ手作りには及ばない。手作りユーザーが冷凍炒飯を使用しない理由として、「好みの味に調整できない」「味が濃すぎる」「出来立てを食べたい」「具材を足したい」など、アレンジ性や出来立て感への不満が挙げられた。また、冷凍炒飯ユーザーを対象とした調査では、レンジ調理可能な炒飯でも半数近くはパラパラ感や香ばしさを求めてフライパンで調理している。これらを踏まえた「おうち炒め炒飯」は、冷凍炒飯の利用者・未利用者双方に向けて訴求していく。
 専門誌が高い関心を示しても、消費者に新機軸商品がどれくらい響くかは未知数。冷凍食品市場はこれまで、少しでも手間を省いて簡便なレンジ調理に置き換えることで市場を拡大してきた面があり、この流れにも逆行している。しかし、それだけに、浸透すれば家庭用冷凍食品の可能性が大きく広がる。
 今後は、その価値をどう伝えていくかが重要になる。時間はかかるかもしれないが、トップメーカーによる「攻め」の価格対応型商品がどのような成果を上げるのか、大いに期待したい。

(吉田)